妄想タケノコ
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異国の街 
何となく、眉間にシワの寄るような、
情景描写のある文章を書きたくなったので書いたんですが、
…はて。

以下、オチなし、エロなしの一文です。



━━異国の街━━


コーヒーを入れようとしたところで、
ペーパーフィルターがきれていたことに気がついた。

仕方がないので、ポットにコーヒーの粉と熱湯を入れ、
茶漉しで漉しながら、マグカップに注ぐ。

ああ、思いの外美味しい、と思ったところで、
同じやり方で淹れたコーヒーを飲んだ晩のことを思い出した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

パートナーが留学先にに選んだ街は、
イングランド北部の工業都市だった。

19世紀、その街は、工業都市として、また港町として
世界でもっとも栄えた都市の一つだった。
しかし、私たちが暮らしたちょうどその頃は、
その街にとって、両大戦間の不況時を除けば、
最も経済的に落ち込んでいた時期かもしれない。

褐色の石とレンガで作られた重厚な街並みは、
煤けて黒ずんだまま放置され、
目抜き通りでは、シャッターのおりたままの店舗が、
私たちの短い滞在の間に、端の方から一軒また一軒と、増えていった。

亡くなった偉すぎる先祖の呪いとでも例えるべきか。
想像を絶する富を費やして作られた街並みの見事さが、
現在その街に住む、将来の展望も見えずに暮らす若者達の苛立ちを
却って増幅する方へと働いていた。


パートナーが勉強先と決めた大学は、思いの外歴史が古く、
彼がマスターコースを取った学部もまた、
「地方都市の大学だから、与し易しと思って選んだら、
その学問では、イギリスで一番歴史が古くて有名なところだった~」

そして私は2年間、日々レポートに追われるパートナーに
付き合う羽目になった。

「Sitting roomというのよ」
留学生の配偶者のための英語教室の教師が教えてくれた。

19世紀には労働者が大家族で住んでいたという大学の夫婦寮は、
リビング、ベッドルーム兼用の一部屋+キッチン+バストイレのみの住居。

「部分照明だけだと目が疲れる」

イギリス人はあまり活用しない蛍光灯の煌々と照る下で、
夜中2時3時まで机に向かうパートナー。

「きっちり予習して行かないと、講義で何言ってるかわからん」
パートナーは、日本での学生時代には考えられないほど必死に勉強していた。

私自身は、12時前にベッドに入るのだけれど、
明るい光と、パートナーから発せられる
必死オーラのようなものに浸されて、
はじめ3ヶ月ほどは、毎日寝た気がせず、
ぼーっとした頭で過ごしていた。

3ヶ月経ったところで、
このままでは増え続ける本に埋もれてしまう、という危機感から、
生活をどうにかしなくてはという意欲を取り戻した。



そんな私たちの、その街での一番の友人は、
パートナーが、学校の授業が本格的に始まる前に選択した
イングリッシュコースの同級生たちだった。

政治学を学ぶカメルーン青年と、
二人の英語学専攻のチェコスロバキア女性。

二人のチェコスロバキア娘は、
一年目の年末年始に帰省して、戻って来たら
それぞれチェコ娘とスロバキア娘になっていた。

3人は、街のはずれのテラスハウスをシェアして借りてすんでいた。

街の中心部に程近い大学の寮から、パートナーと二人、
徒歩二十分ほどのその家まで、いつもてくてく歩いて遊びに行ったものだった。

石畳の街路、たっぷりと大きな街路樹、
まとまりのよいデザインの家々。
考え抜かれて作られた町並みは、
ただ歩くだけで豊かな気分になった。

時々、パブにビールを運ぶ馬車を見かけるのも、もの珍しく。

夏休みが明けてもどると、カメルーン青年が、
「実家の方のコーヒーなんだ。」
とコーヒーを出してくれた。

「でも、コーヒーを淹れる器具がなくて。」

そう言って、出されたのが、澱の沈殿したコーヒーだった。

ひどく苦かったり酸味が強かったりするのかな、と思いつつ
飲んだそれは、
苦味、酸味、香り、コクのバランスの取れた飲み物だった。

「ああ、美味しいね」

というと、彼は満足気に頷いた。

今も思い出す。
典型的な3ベッドルームのテラスハウスのリビング。
備え付けのソファセットの、鷲鼻で独身のランドロードが選んだという、
優しい趣味の花柄のカバー。

ほとんど見られることのなかったTVセット。

ぼうっとつけられたスタンドの、オレンジ色の灯り。

ゆっくりではあるけれど、論旨も発音も明瞭でわかりやすかった、
カメルーン青年の英語。

その街にいるのはたった二年のこととわかっていたのに、
楽しく話す夕べを重ねて、
いつまでも魂はその地に留まるような、
そんな気分だった、思い出の日々。






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コメント
この記事へのコメント
Non Title
ああ・・漢字とカタカナがいっぱいやぁ。。
と思いながら読んでいくと、なんだかその場所で
絶妙コーヒー飲んでるみたいな、瞬間移動!
素敵です☆
さて、僕が食べたかったのは三角のちまき。
中華おこわのはいったやつが食べたい~
長くて細いのも、夜には頂きたいですね。
2006/06/02(金) 11:32:00 | URL | レン #FsQlnSOY[ 編集]
Non Title
ほんとだ・・・
つい 引き込まれたよ。
たった今、カメルーンのコーヒー飲んでる気分で
ネスカフェ飲んでる自分に気がついたよ!
2006/06/02(金) 15:34:21 | URL | 真夜中のジョニー #-[ 編集]
Non Title
お馬さんがビールを運ぶの?
雰囲気のある情景だなぁ・・・
それで、カメルーン青年さん、チェコ娘さん、スロバキア娘さん達はその後どうしてはるんやろうね?
2006/06/02(金) 18:28:43 | URL | プクママ #9ddgPdqs[ 編集]
Non Title
レンさん♪
正解は中華ちまきでしたか~(^0^)
私もたべたくなっちゃいました。

>漢字とカタカナがいっぱい
レンさんが長い文章書いてるの見て、「私もいっぱい書きた~い」と思って書いてみました。
連載はネタもないから無理なので、単発で字のいっぱいあるやつ~って。

そんな感じで書き始めたので、結末は考えてなくて、途中で
目的地不明の迷子状態になったりしてました。

最終的に、なんとかコーヒーの香りのするこじんまりした居間にたどりついて、
ホッです。
2006/06/02(金) 21:21:18 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
Non Title
ジョニーさんたら(≧▽≦)
引き込まれたなんて、そんな~♪

開封したてのネスカフェは、場末の喫茶店のコーヒーより
絶対、うまいと思うコロンです。
2006/06/02(金) 22:06:27 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
Non Title
なんか萩尾望都の寄宿舎ものとかの
雰囲気を思い出しました。
でも自信なくて、ブックオフ行って確認してきた。
ああそうだ、あれはドイツの話だったんだ。
やっぱり、何度読んでもコーヒーのくだりが
すごく素敵です。
俺は食いしん坊だから、美味しいモノが
出てくるとすごく嬉しくなっちゃう。
ブックオフでは、くらもちふさこを買い込みました(笑
2006/06/02(金) 22:13:56 | URL | レン #FsQlnSOY[ 編集]
Non Title
プクママさん♪

普段は、普通の自動車しか走らないような道路を、
休日の朝かなんかに、黒っぽい色の馬車が走っていました。
どのパブも、地下にビールの樽を貯蔵するようになっていて
馬車が着くと、地下の入り口へのスロープがあいて、
でかいビールの樽が、ガランゴロンと音を立てて
転がり落ちて行ってました。

度重なる引越しやらなんやらかんやらで、
今は三人との連絡がとれなくなってしまいました。

カエルとヒラメを炊いて2で割ったみたいな顔立ちなのに、カメルーン男は、いつもナイスバディのキャリアっぽい女の人と付き合っていましたのさ。
それも行く先々で。

スロバキア娘の人は、多分、お国で英語の先生として大成してるんだろうと思います。

チェコ娘の人はね~、大学教授のお嬢さんかなんかで、
アメリカにも留学経験あり、の人だったんだけど…。
寂しさを、同性の友人よりは、異性と付き合って紛らすタイプだったです。
友人たちにはフェアに付き合ってたし、私にも、親切にしてくれたけど。

いろいろなあれこれを、うまく思い出せないんだけど、
続きはあるので、書きたいんです~。
2006/06/02(金) 22:26:08 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
Non Title
レンさん、そう、「トーマの心臓」ですか?
アングロサクソン同士、建物の雰囲気が近いのかも知れません。
そっか~、初めて寮の部屋に入って、縦長に切られた窓とその落とす影を見て、
何かどきどきしたのは、萩尾望都の世界を連想していたからだったのでしょうか。

くらもちふさこ、作品は何なのか、気になります~。
「ポケットにショパンを」?…ちがうかな~。

倉持知子さんと言って、妹さんもすごくうまい漫画家さんですね。
2006/06/04(日) 15:32:41 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
Non Title
蓮さん・・って書いてあるから
俺じゃないと思ってました(笑。
蓮って人は、別にいるらしいですね。

さて、ああそう「トーマの心臓」とか「11月のギムナジウム」とかですね。ギムナジウムなんて言葉アレで知りましたもん。内容はさっぱり覚えてないんですけど・・。
兼高かおる以来の、ヨーロッパでした。小6だったかな?
いとこが、ファンだったらしいので。

くらもちふさこは、ポケットにショパンじゃないです。
もうちょっと後の、「A-GIRL」とか「アンコールが3回」とか
[kiss+Πr2」とかです。これは高校の頃読まされてた(笑

あんまり読まなかったけど、多田かおるという漫画家
頭を打って亡くなってたんですね。それをブックオフ
で知るなんて・・・。
2006/06/05(月) 11:21:42 | URL | レン #FsQlnSOY[ 編集]
Non Title
うわ~、ごめんなさいごめんなさい、m(__)m
れんさん違いしちゃいました~。
また、うちのPCがパーで、蓮湖さんのときもふたつに分けて入力してるんで、
(単語登録しろって話なんですけど)
漢字の蓮の方を倍使ってる勘定なんです~。

あ~、そうそう、「11月のギムナジウム」もありました。
そっちはあんまり読んでないですけど、妙にタイトルが懐かしいです。

>くらもちふさこ
う。微妙に世代の違いを感じてしまったかも。
「読まされた」って何なんだ~(^^;)
そんな読書(?)経験が今のレンさんを形作っているわけですね(笑)

多田かおる・・・・・そうだったんですか。ショック。
単行本買うまではしないけれど、結構好きな漫画家さんだったのに…。
2006/06/05(月) 11:50:41 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
Non Title
うん、読まされた(笑

漫画を読むのは、3年ぶりくらい。
ほとんど読まないけど懐かしくなった。
CDとかも、古いの見つけると好きじゃなかっても
つい買っちゃう。。
こうして、おじいさんになっちゃう訳で(笑。。

多田かおる・・大理石のテーブルに頭ぶつけて
そのまま還らぬ人に・・享年33歳。
ショックですね。。

で、ただいま喜国雅彦の、続・傷だらけの天使たち
を読んでます。
このシュールさ加減が大好きだったなぁ。
2006/06/05(月) 14:17:42 | URL | レン #FsQlnSOY[ 編集]
Non Title
俺も今、パートナーに、北道正幸さんの「プ~ねこ」って漫画を読まされてます(笑)
超シュール(笑)
面白いですが、わけわからんです。

この前はチャットでありがとうございました。
でも3人以上だったら、ちょっとついて行けなかったかもしれない・・(汗)
こんなヤツですが、またよろしくです。
2006/06/06(火) 00:33:09 | URL | V #-[ 編集]
Non Title
レンさん、
えー、マンガ読むのは3年ぶりぐらい~~~?
やっぱり、普通大人の男の人って読まないのかな。
懐かしいから買ったのか(^^;)
「こうして、おじいさんに」がのセリフに笑いました。
>喜国雅彦
知らなかったのでイメージ検索してみたんですが、わたし、これ、好きかも~~~~~!!
こんど、ブクオフで探しちゃうかも。あるといいなあ。




Vさん(^^;)
ぷ~ねこ、これ、何でかどっかで見てる
そうそう、なんじゃこりゃと思いつつ、頭をはなれなくなったり。

チャット、こちらこそありがとうございました。
ツーショット、しかも、かっしーさんの寝ている横でどきどきしながら(≧▽≦)
こちらこそ、またよろしくお願いします~♪
2006/06/07(水) 15:21:41 | URL | コロン #9K54kpoI[ 編集]
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