妄想タケノコ
恐れ入りますが、トラックバックして下さるときは、そちらの記事中に妄想タケノコのトラックバック先となる記事をリンクしてくださるよう、お願いします♪
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
今回はソフトに その1
お別れ会の飲み会は、いったんお開きになって、
私は、他の帰る子たちとも別れて、歩き始めた。
わたしだけ、家の方向が反対だったから。

男の子たちの大方は二次会に行くらしく、
遠くなる彼らの話し声を聞きながら、
私は、飲み会の間にかっちゃんと交わした、
たったふたつかみっつの会話を反芻して、
暖かい気分で、歩いていた。

「ころさん、送るよ」

振り向くと、かっちゃんが追いかけて来ていた。

「すぐそこだし、大丈夫だよ。二次会、行くんでしょ」

「うん、ころさん、送ったら、戻る。場所、わかるし。」

二人だけで並んで歩くのは、これが初めてかも、知れない。
そして、きっと、最初で、最後。
あいだに人一人分入るぐらいの距離を空けて、
でも、そこに、何か濃密な空気が詰まっているようで、
息が苦しいような気持ちになる私だった。

「ころさん、もう、住むとこは決まったの?」

「うん、寮に申し込んだら、入れたんだ。
 かっちゃんは?ももちゃんと近くに住むの?」

ももちゃんは、一年生のときからのかっちゃんの彼女で、
すごく性格がよくて、同性の友達みんなが大事にするようなコだった。
私は、ももちゃんとは、ふたことみことしか話したことがなかったけれど、
笑顔も言葉も、ほんとに明るくて気持ちよくて、
やっぱり他の子たちと同じように、彼女のファンになったのだった。

だから、いくら私がかっちゃんのことを好きでも、
結局、彼をどうこうしようとは、とっても思えないまま、
高校生活は終わろうとしていた。

「うん、まあね。」

かっちゃんが嬉しそうに答えた。
私は、東京。かっちゃんとももちゃんは、学校は違うけれど、仙台。
頑張って、同じ街に住めるように進学を決めたのだ。

「あわよくば、同棲しちゃおうとか…?」

「え?えへへ。」

照れくさそうに笑うかっちゃんは、ほんとに嬉しそうで。

かっちゃんの、笑うと、糸みたいに細くなる目。


しばらく歩いているうちに、なんとなく、くっついて歩く感じに
なった。
その年は、3月になっても寒い年で
夜の来るのが早い町外れは特に寒かったから、
別に特別な気持ちはなかったのかな。

近道の公園を、ななめに突っ切る途中、
ひときわ明るい街灯の下で、私は立ち止まり、
向き直って、かっちゃんの顔を見上げた。

「かっちゃんの顔も、今日で、見納めかなあ」

ちょっと、いもっぽい顔なんだよね。
でも、眉と目のバランスが、とてもいいんだ。
ちょっときりっとしてて、すごく優しそうで。

コートのポケットから手を出して、私はかっちゃんのほっぺたを
そっと撫でた。酔っているのかなあ、私、と思いながら。

かっちゃんと私は、30センチ近く身長が違うから、顔を触るには、
随分と腕を上に伸ばす感じになる。

かっちゃんは、触られるままになって、にこにこしながら、
私の目を見ていた。


2、3秒、視線を合わせながら、私は、かっちゃんのキスって
どんな感じなのかなあ、と考えていた。


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://mousoutakenoko.blog33.fc2.com/tb.php/107-6d042c6e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。